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北九州未来会議アーカイブ

北九州未来会議プラス@ウェルとばた 12階会議室 レポート(ゲスト:伊佐拓哲氏、重定知佳氏)

2022年8月12日北九州未来会議アーカイブ

【北九州未来会議プラスー戸畑にて。「限界を超える」とは?「人生」とは?】

嗚咽の止まらない男性、涙を拭う女性、そして北九州の夢をご提案くださるみなさん。

会場の心は揺さぶられ続けました。

今回の「北九州未来会議プラス」は、武内和久が、北九州の誇るパラアスリート(アーチェリー、東京パラ5位)重定知佳さんと、脊椎損傷からの復帰を促す世界でも稀有のスポーツジムJ -workoutを展開される伊佐拓哲さんと、人生そして、北九州の未来について、語り合い、考えました。

突然の事故による脊椎損傷。じわじわと機能が失われていく難病の進行。

お二人が車椅子生活となった道のりは異なります。

しかし、お二人は挑戦によって、どんどん限界を超えてこられました。

当事者でない者は、簡単に、“絶望から立ち上がられてすごい”などと言うが、お二人の話を聴いて、その淡々とした、でも決然とした語り口に、

誰もが自らを顧み、自分の人生はどうだったのか、我がまちをどうするのか、と気付かされる時間でした。

お二人の人生には、導かれるような「人との出会い」がありました。

重定選手には、憧れのパラアーチェリーのスター上山選手との出会い。

伊佐さんには、共同創業した亡き友・渡辺氏との出会い。

「人は人に導かれる」「出会いこそ人生」―これは私の座右の銘の一つでもあります。

出会った方々への感謝と絆が全て。

深く共感しました。

できない理由を語り、尽きない評論を続け、人間関係で身動き取れなくなって、足を止めていませんか?

「どうせ無理」「そうは言っても」と訳知り顔に、挑戦しようとする人、リスクを取る人に冷や水をかけていませんか?

お二人のお話しはそんな問いを、むしろ僕たちに突きつけてこられたような気がします。

そもそも、「障がい」って、「障がい者」って何だっけ?

アーチェリーで新幹線3両分(70m)先のCD1枚分の的を射る人が、車椅子でも100kg以上の重量を上げ、会社経営して全国展開する人が、いわゆる“健常者”と違う、大変だ、などと括って見ることなんて、ナンセンス。

よほど、彼らの方が強いし、雄々しいし、それでいて穏やかなのだ。

いろんなハンディは現実にある。でもそれでも美しく、強く、生きている。

まさしく、「にもかかわらず」って生き方はカッコいい。「にもかかわらず」をできるのが人間のすごさ。

「障がい」(なんて呼称自体をそろそろ廃止すべきなのだが、)ってなんだろう?

車椅子のお二人から見れば、環境の方が「障がい」だらけ。車椅子の入れないレストラン、狭いエレベーター、着替えで占有される多目的トイレ、コンビニ入り口前の専用パーキングに堂々と駐車する車。

これって、フェアじゃない。知らない、理解していないという「心の障がい」こそ、私たちが向き合うべきものだ。

来場者の方々との対話の時間には、さまざまなご感想をいただいた。

北九州は、リハビリ発祥の地であり、障がい者健常者が一緒に真剣勝負できる風船バレーの発祥地でもある。

そんな歴史を誇りに、北九州を障がいに関する先進的な取り組みの集中した「世界の最先端都市」にしてはどうかという提案も出ました。

障がいを抱える方のトレーニング施設、本気で世界と戦うパラアスリートの養成施設、使いやすいレストランやカフェ、「障がい」を固定した状態と捉えることなく、「回復」に向けて後押しする研究機関や世界最先端の医学、たがいに感化、刺激し合う関係性、そして「障がい」という言葉自体を置き換えてしまうようなコンセプトの転換。

そんな「障がい」像の未来を拓き、ユニバーサルな人生を謳歌できる街。

まさに、「夢かなう街・北九州」の一コマだ。

おふたりとの心揺さぶる対談、みなさんとのディスカッションの模様は、多くの方、若者、子供たちに見て欲しい。

近日中に動画を公開予定です。お楽しみに。

重定さん、伊佐さん、ご参加のみなさま、ありがとうございました。